営農だより2016年7月
大根の事前病害虫対策
夏から秋にかけて、大根の播種、作付けが始まってきます。
しかしながら、綺麗な大根をつくるには、事前の病気・虫害対策また土作りが必須となってきます。
7~8月にできる大根の病害虫対策、またその手順について紹介したいと思います。
処理・施用の順番(畑の準備)について
資材の使用方法および効用について
①土壌消毒
土壌消毒は、大根の根部障害を及ぼす土壌病原菌またはセンチュウなどの防除として使用します。
堆肥を施用した後に土壌消毒を行うと、堆肥中にいる微生物も死滅してしますので、処理の手順としては、堆肥施用前に土壌消毒します。
【薬剤の紹介】
●ガスタード微粒剤
使用量:20~30㎏/10aあたり
使用時期:播種21日前まで
適用病害虫:ネグサレセンチュウ、萎黄病、バーティシリウム黒点病等
土壌病害、センチュウ及び雑草に対して効果のある総合土壌消毒剤です。本剤は、ガス化を促して効果を安定させる農薬のため、適度な水分と地温を確保することが重要です。土壌水分が足りなくてガス化が不十分な場合やガス抜きが不十分なときには、薬害を生じることがあるので注意が必要です。地温は15℃以上を確保するように努めてください。
ガスタード微粒材の作業手順
- 土壌耕起…砕土を充分にしてください。
- ガスタード微粒材散布…肥料散布器、または手(手袋着用)で均一に散布してください。
- 土壌混和…ロータリーを用いて充分な混和を行ってください。
- 散水…本剤は水と反応して有効成分が発生、効果を発揮します。土壌水分を確保するため、乾燥しているときは散水してください(土を握って形がくずれない程度)。
- ビニール被覆
- 被覆除去
- ガス抜き(耕起)…薬剤散布して約2週間後
- 播種・定植・植付け…発芽テスト等で異常がないことを確かめてから施肥、播種、定植を行ってください。
※その他、「D - D剤」、「ディトラペックス油剤」等の土壌消毒剤もあります。毒劇物となりますので、初めて使用する際は、関係機関またはJAに必ず問い合わせてください。
②堆肥
堆肥は、畑の地力をつける以外に、土壌の排水性・保水性を改善し、微生物叢を豊富にします。これによって根部障害の発生を軽減させます。
堆肥の施用は、基本的に作付けの2~3週間前(未熟堆肥は1ヶ月前)には散布・混和をしておく必要があります。施用直後の播種は、タネバエの幼虫等の食害の危険があるため注意しましょう。
【堆肥の紹介】
●スーパーコンポ
使用量:100~200㎏/10aあたり
使用時期:播種15~30日前まで
土づくりを目的に、完熟家畜ふん堆肥に植物かす、石灰質資材を配合し、ペレット状に成形した総合濃縮堆肥です。散布が容易で、ミネラル、微生物、腐植等を多く含有しているため、土壌改善、品質向上に役立ちます。
③播種前使用の農薬
※使用時期・方法は、全て「播種前」・「全面土壌混和」です。
【センチュウ対策農薬】
●ネマトリンエース粒剤
使用量:20~25㎏/10aあたり
前述の土壌消毒とは違い、被覆、ガス抜き等の作業が不要なため、土壌消毒処理が困難で、センチュウ対策のみ必要な方は、こちらを使用してください。
【土壌病害対策】
●ユニフォーム粒剤
使用量:6~9㎏/10aあたり
白さび病、腐敗病等に登録のある農薬。また、本剤は、土壌病害が発生すると、根の表面に起こるやけ・しみ・あざ等を抑制し、そのような品質劣化を抑え、秀品率の向上に貢献します。
きれいな大根をつくるには、オススメな薬剤です。
【タネバエ、キスジノミハムシ対策】
●フォース粒剤
使用量:6~9㎏/10aあたり
優れた残効性と安定した高い防除効果で、土の中に潜む幼虫だけでなく、その後にふ化した幼虫にも効果をしめします。
上手な使い方
- ムラなく均一に散布…播種前に土壌全面に均一に散布する
- ていねいに混和…散布後、ネマトリンエース粒剤は土壌20㎝程度の深さ、ユニフォーム粒剤は3~4㎝程度の深さまでいきわたるよう、ムラなく混和します。
※ネマトリンエース粒剤は処理の際、適度な土壌水分が必要です。
*薬剤使用の際は、製品ラベルをよく読み、確認し、適切に使ってください。
バックナンバー
- 2024年9月号
秋冬野菜の害虫の紹介と対策 - 2024年8月号
植物を元気にするサプリメント
「ソイルサプリエキス」 - 2024年7月号
IPMを活用しよう - 2024年6月号
極早生タマネギ栽培のポイント - 2024年5月号
盾で守る!無機銅フロアブル!
「クプロシールド」のご紹介 - 2024年4月号
JAよこすか葉山
お勧め機種のご案内
2023年度バックナンバー
- 2024年3月号
スイカ病害防除のポイント - 2024年2月号
ヒヨドリの生態と農業被害対策 - 2024年1月号
畑の雑草と粒状除草剤の使い方
~粒状除草剤の使用方法と作用メカニズム~ - 2023年12月号
キャベツの菌核病に効果的な
農薬散布 - 2023年11月号
トウモロコシの早出し技術・
トンネル早熟栽培 - 2023年10月号
海からの恵みで品質向上! - 2023年9月号
ソラマメ栽培の基礎 - 2023年8月号
冬春野菜の播種、
定植時の予防について - 2023年7月号
畑の残渣処理~分解促進資材を使い、
土壌病害の軽減や有機物の活用を~ - 2023年6月号
堆肥や緑肥などの有機物を投入して
畑に腐植を供給しましょう! - 2023年5月号
地力アップ&肥料代削減に
「緑肥」を栽培しよう - 2023年4月号
JAグループ神奈川推奨型式のご案内
2022年度バックナンバー
- 2023年3月号
ダイコン栽培における1粒播種のメリット・デメリットの比較 - 2023年2月号
ジャガイモ栽培 基礎 - 2023年1月号
白ナス袋かけ栽培について - 2022年12月号
キャベツの菌核病対策について - 2022年11月号
アシストスーツで農作業の負担を削減! - 2022年10月号
秋冬野菜の病気について - 2022年9月号
『暑さ』『乾燥』による萎れを
独自の酢酸技術で守る! - 2022年8月号
堆肥のススメ - 2022年7月号
超極早生「タマネギ マルチ」栽培について - 2022年6月号
ブロッコリーの品種を使い分けよう~品種比較結果~ - 2022年5月号
コナガ防除の混用散布 - 2022年4月号
JAグループ神奈川推奨型式のご案内
2021年度バックナンバー
- 2022年3月号
GAPの手法を取り入れて農業経営のリスクを減らしましょう~生産履歴の記帳と保管~ - 2022年2月号
かんきつ類の病気防除~適切な時期の作業で、きれいなミカン・レモンの収穫を~ - 2022年1月号
土壌診断の必要性~自作圃場の土壌を知り作物栽培に備える~ - 2021年 12月号
腐植酸肥料の活用~腐植酸の補給で元気な土づくり~ - 2021年 11月号
牛ふん堆肥を配合した指定混合肥料の販売開始について - 2021年 10月号
農薬散布時の注意事項 - 2021年 9月号
キャベツを守るために〜定植後の病害虫対策〜 - 2021年 8月号
高温乾燥によるキャベツのカルシウム欠乏について - 2021年 7月号
新しいケイ酸肥料〜試験事例から見るおすすめ商品〜 - 2021年 6月号
ニンジンを作ってみませんか〜品種比較結果〜 - 2021年 5月号
野菜の省力施肥~追肥のいらない基肥一発肥料の施用~ - 2021年 4月号
JAグループ神奈川推奨型式のご案内
2020年度バックナンバー
- 2021年 3月号
農業分野におけるドローンの技術開発と活用 - 2021年 2月号
これから播ける春どり香味野菜 - 2021年 1月号
霜に気をつけましょう - 2020年 12月号
ケイ酸肥料について - 2020年 11月号
拍動かん水装置導入による夏季果菜類(ナス、ピーマン等)の栽培 - 2020年 10月号
殺虫剤のRACコードについて - 2020年 9月号
地域ぐるみの鳥獣被害対策~私たちの野菜を守る~ - 2020年 8月号
ニラサラダスナップ栽培について - 2020年 7月号
秋ジャガイモの栽培と貯蔵について - 2020年 6月号
抑制エダマメ栽培のポイント - 2020年 5月号
MA包装について - 2020年 4月号
JAグループ神奈川 推奨型式のご案内