Farming Letter9土壌診断データによる県内農耕地土壌の養分実態の把握土壌診断を活用した施肥コスト削減表示されます(図2)。石灰やリン酸が不足と出た時は、それぞれの資材を施用します。レーダーチャート横の左下には土壌中の余剰の肥料成分(窒素、リン酸、カリ)の量が表示されています。これに応じて肥料の施用量を削減することで、施肥コストの削減が可能です(図3)。神奈川県では、1970年代から土壌分析が実施されており、近年では、年間約9000件の土壌分析が実施されています。分析結果は、土壌診断プログラムで診断結果が提供されるとともに、プログラムには土壌診断データが蓄積されています。農業技術センターでは、過去から蓄積された土壌診断データを用い、県内農耕地土壌の養分実態の推移を解析しました。した。この中ではリン酸やカリの蓄積傾向、pHや石灰や苦土含量の上昇傾向などが明らかになっています。石灰、苦土については、やりすぎに注意が必要です。「土壌診断結果(処方箋)の見方」の項で解説したように施肥では、土壌診断により残存する肥料成分や不足する養分を把握し、これを参考に施肥量や石灰などの土壌改良資材の量も加減することで施肥コストの削減にもつながります。上手に土壌診断結果を活用しましょう。その例を図4、5に示しまこのため、リン酸、カリ、(図4、5)露地畑での交換性カリ、有効態リン酸の推移(図2)土壌診断結果の見方Ⅱ(土壌改良資材)(図3)土壌診断結果の見方Ⅲ(余剰肥料成分)参考文献・藤原俊六郎,岡本保:土壌診断結果からみた県内農耕地30年間の土壌化学性の推移 神奈川県農技セ研究報告150号p.1-10・竹本稔:県内土壌診断データの解析,神奈川県農業技術センター平成30年度試験研究成績書(生産環境)p53~62
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