JA通信よこすか葉山_3月号
11/15

今回は所有者不明土地建物の管理制度の改正について説明します。土地建物の所有者を調査しても、その存在や所在が不明であるとき、その土地建物の管理処分が困難となります。現行法では不在者財産管理人とか、解散法人のときには清算人の選任などの方法があります。しかし、所有者の財産全ての管理を担当することになったり、何より所有者の特定ができないときには、不在者財産管理人の選任はできません。そこで、所有者を知ることができず、またはその所在を知ることができない土地建物について管理人を利害関係人の申し立てによって裁判所が選任することになりました。所有者が特定できないケース、例えば「〇〇外2名」というときの「外2名」が誰か分からなくても、この管理人の選任申し立てができます。選任された管理人は、土地、土地上の動産、売却等で得た金銭等、建物のときは建物およびその中の動産、敷地利用権について専属的な管理権を有しますが、それ以外の財産には権限は及びません。管理人は保存、利用、改良行為の他、裁判所の許可を得て、対象財産の処分(売却、取り壊し)ができます。今までの不在者財産管理人は、不在者の全ての財産を対象に、主にその管理を行うものでしたが、改正された所有者不明土地建物管理人は、対象財産は特定されるものの、専属的管理権を有し、処分も裁判所の許可があれば広く可能となりました(ただし、不在者財産管理人は遺産分割に加われますが、所有者不明土地建物管理人は加わることはできません)。なお、裁判所の許可を得て売却した金銭は供託をされることになります。土地も建物も所有者不明のときは別々の申し立てになりますが、管理人を1人とすることも可能です。また、地方公共団体の長もこの申し立てが可能です。次回は管理不全土地建物について説明します。A解 説田んぼの稲には光合成によって大気中の二酸化炭素を減らし、代わりに酸素を出す、大気の浄化機能があります。❶耕作を続けている田畑では、雨水がゆっくりと地下に染み込むので、地下水位の急上昇を防ぐ働きをしている。❷あぜに囲まれた田や畑には、雨水を一時的に貯留し、JA広報通信2023年1月号より転載日本農業検定事務局JA広報通信2023年2月号より転載遺言や遺産整理の相談はJAへ詳しくは最寄りの支店へQJAが相続対策をサポート遺言信託業務取扱中遺言信託業務取扱中あぜに囲まれた田や耕作されている畑の土壌には、雨水を一時的に貯留する働きがあり、田んぼの一枚一枚は、小さな治水ダムの役割を果たしています。また、田畑の耕作を続けることで、雨水を地下にゆっくりと染み込ませ、地下水位が急上昇することを抑える働きがあり、地滑りなどの災害を防止しています。田畑には、人が手を加えることで形成・維持されてきた自然環境である、豊かな生態系を持った二次的自然が形成されています。『新版 日本の農と食を学ぶ 中級編』 (22ページ)より図 環境保全機能12農村で農業生産活動が行われることにより生ずる、農産物の供給を含めた幅広い機能を「農業・農村の多面的な機能」と呼んでいます。農村地域では、農業が営まれることにより、田畑に育った作物と農家の家屋、その周辺の水辺や里山が一体となって美しい農村景観を形成しています。ダムのように洪水を防止する機能がある。❸田畑では、自然との調和を図りながら手入れをすることによって、トンボやカエルなど、多様な生き物が生活できる二次的自然が形成されている。❹田畑で育っている作物は、蒸散作用によって大気を浄化する機能を持っている。正解は❹です。民法等改正(令和3年)についてその8JA全中・JAまちづくり情報センター顧問弁護士 草薙 一郎学び学びののひろばひろば

元のページ  ../index.html#11

このブックを見る