今回は成年後見手続きをしていない判断力のない方の売買について説明します。判断力のない方は意思能力がない人と考えられます。従前は意思能力のない方の法律行為は無効と解釈されてきましたが、民法の改正で「その法律行為は、無効とする」と条文で明記されました(民法3条の2)。判断力のない方を当事者とする、売買や賃貸・請負などの法律行為ができないかという相談は多いようです。これはすでに説明した成年後見制度に対する抵抗感があるためと思います。具体的には、身内の財産に他人が関与することや、相続対策などの財産処分に制約が生じる可能性があることを危惧するためかと思います。あるいは、身内に成年後見制度を適用することの罪悪感もあるかもしれません。しかし、判断力のない方は法律行為をしても効力はないのですから、安易に法律行為を代わりにやってしまうなどのことはするべきではありません。売買にしろ賃貸にしろ、相手のある法律行為です。将来、その法律行為が無効となったら相手に迷惑です。判断力のない方の身内の考えだけで処理していい問題ではありません。売り主の場合には、登記手続きを司法書士に依頼しても、売り主本人に判断力がないのですから、登記の依頼は受けてはくれません。そうなると、売り主側の債務不履行責任が生じます。身内が判断力のない方の署名押印をすることは私文書偽造ということになり、犯罪行為に該当することにもなります。判断力がない方の全てに成年後見をする必要はありませんが、その手続きが必要となるかの判断は必要です。次回もこの問題の続きを説明します。指先合わせといえば指先体操の中では動きが比較的小さい体操です。しかしながら侮るベからず、脳への刺激を与えるという点ではかなり効果的な体操といえるでしょう。今回ご紹介するのは、指先合わせの中でもちょっぴり難易度の高い体操です。両手が同じ動きをするのが基本とするなら、左右で異なる指を使うのがこの応用編。難しいようでしたら、同じ動きから慣らしていくのも方法です。暑くなってきた時期に脳に強めの刺激を与えてシャッキリさせてみませんか。心地良い刺激の体操だけでなく、たまには緊張感のある体操を意識しSTEP1て取り入れましょう。遺言や遺産整理の相談はJAへ詳しくは最寄りの支店へ11(1)右手は親指と人さし指の指先を合わせます。左手は親指と小指の指先を合わせます。(2)次に右手は親指と中指の指先を合わせ、左手は親指と薬指の指先を合わせます。続けて、それぞれの親指を隣の指先と順番に合わせていきます。(3)右手は親指と小指まで、左手は親指と人さし指まで行ったら、(1)に戻って同じ動きを繰り返します。JAが相続対策をサポート遺言信託業務取扱中遺言信託業務取扱中STEP2スタートの指合わせを変えます。右手は親指と小指の指先を合わせ、左手は親指と人さし指の指先を合わせます。そして、右手は親指と薬指、左手は親指と中指と順番に合わせていき、元のスタート時の組み合わせに戻ります。STEP1〜2を数回繰り返します。手軽に健康手指体操左右の動きの違いを正確に左右違えた指先合わせで脳の老化を防ぐ健康生活研究所所長堤 喜久雄売買についてその12JA全中・JAまちづくり情報センター顧問弁護士 草薙 一郎
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