JA通信2月号 vol.287
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意外と知らない? 本当のだしの話うま味を液体に移したのが「だし」あらゆる食材がだしになるインスタントだしを使うなら和食ならかつおだしや昆布だし、煮干しだし。西洋料理ならブイヨンやフォン、中華では鶏がらや豚骨で取る湯(タン)……。料理のべースになるだしは世界各地にあります。これに調味料と具材を組み合わせることで、さまざまな料理が出来上がります。煮出す場合が多いのですが、水に浸しておくだけで味が出ることもあります。つまりだしとは、素材が持つうま味を液体に移した物と考えていいでしょう。こうしただしは「独立して取るだし」。一方「自然に取れるだし」もあります。鍋料理や煮物がおいしいのは、入れた具それぞれのうま味が汁の中で一体になるから。汁気のほとんどない野菜炒めも、液体である炒め油に各野菜のうま味が溶け出ています。ほぼ全ての食材は、何らかのうま味を持っています。三大うま味成分の一つであるイノシン酸は魚介類や肉、グルタミン酸は野菜や海藻、きのこ、発酵食品、グアニル酸は干しシイタケやのりなどに多く含まれます。例えばトマトやタマネギも、スープに入れれば立派なだし素材。グルタミン酸を多く含む日本茶も、茶葉のだしを味わっているといえます。三つのうま味成分は、組み合わせることで何倍にもおいしさを増します。かつお節と昆布の合わせだしはよく知られていますが、「自然に取れるだし」でもその効果は絶大。トマトと魚、アサリを煮ればブイヨンなしでもうま味十分ですし、昆布+豚肉も相性抜群。八宝菜などは戻した干しシイタケを加えると味にぐんと深みが出ます。手近な食材を使って、あれこれ合わせ技を試してみるのも面白そうです。「独立して取るだし」では、今は多くの家庭で、便利な粉末だしやパックだしなどを使うようになりました。ここで気を付けたいのがパッケージに表示されている原材料名です。だし素材以外の材料が入っていれば、それは厳密には「だし」ではなく、だしに近づけた物と考えていいでしょう。また、商品によっては塩や粉末しょうゆで味付けしてある物もあります。作りたい料理に合わせて選び、調味する際は塩分の取り過ぎにならないよう注意してください。時間のあるときにかつお節、昆布、煮干しなどでだしを取って、本来の味を覚えておくと、インスタントだしの風味の過不足も分かり、使いこなしも広がります。●──具材●─味付け独立して取るだし取れるだし昆布、かつお節、煮干し、干しシイタケ、ベジブロス(くず野菜)、西洋のブイヨン、フォン、ブロード(以上、野菜や肉のだし)、中華の湯(タン/鶏がらや豚肉などのだし)など自 4鍋料理、煮込みスープ、炒め物、魚や肉の煮込み料理の素材から出るだしだしになるだし●──土台━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━「だし」と聞いて思い浮かぶのは、━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━かつお節や昆布のうま味。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━でも実はそれだけでなく、私たちが口にする食材は━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━どれもそれぞれが独自のうま味をもたらしています。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━料理をおいしくしてくれる「だし」って、そもそも何?━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━「だし」「肉・野菜」「調味料」の関係 然 に「だし」には2種類あります調味料肉・野菜だし

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